今、これなら楽勝って言っただろー!! 

タイトル:ツムーン -連鎖DEリ・マージョン-
      詰むん?
ジャンル:詰みゲー

※「作ってみたい」って同人サークルさんいたら御連絡ください。

続きを読む

『思い、伝えたくて…』 

 外はすっかり夜の街になっていた。やたらにネオンがまぶしい。フラフラに歩くサラリーマンやナンパにいそしむ若者達。
 もうすでに20時をまわっていた。残業の為に彼女と会う時間を1時間もすぎている。

 今日は彼女の誕生日の為、ふたりで食事をしようと隣街の小さなレストランで待ち合わせをしている。
 彼女の名前は『瞳(ひとみ)』、学生時代からの付き合いで、もう5年になる。仕事も安定してきたことだし、そろそろ僕は結婚を申し込もうと思う。そして今日そのチャンスが来た。

 時間が時間の為か、道という道は人であふれてタクシーをひろうこともできない。しかたなく電車で行くことにした。

 駅のホームで電車を待っていたが、他人のアルコールの臭いがとても臭く感じる。気が付くと僕のまわりには4、5人のサラリーマン達がベロベロに酔っぱらっていた。柱に話しかけている奴もいる。

『3番線に電車がまいります、危ないので白線の内側までお下がりください』

 場内アナウンスがながれる。その瞬間、僕は線路の上に投げ出されてしまった。おそらく酔っぱらいがぶつかって突き出されてしまったのだろう。実際、僕もアルコールの臭いで少し気分が悪く、何が起きたかわからない。次の瞬間…。

 彼女はレストランを後にしていた。『瞳』は僕を待ちきれなかったのだろう。そして僕の言葉も。

 自宅前、彼女は一匹の犬がいることに気付く。よく見るとその犬は何かをくわえていた。それが人間の手だと気付いた時、自然と驚きはしなかった。手首の辺りには見覚えのある時計をしていたからだ。その時計は、よく遅刻をする僕に彼女が贈ってくれたものだ。そしてもうひとつ、手の中に小さな箱が握られていた。その中には彼女のイニシャル入りの婚約指輪が入っていた。
 そして彼女は泣き崩れる。

『ハッカのビロード』 

 僕は昨日、身を投げた。体は冷たいし、腐乱した身体は魚に喰いつばまれて原形をとどめていない。
 今なら僕がジ○ニーズにいたと言っても誰も疑わなかったであろう。なんせ顔の形すらないのだから。
 ただプランクトンが僕に降り積もる様子を眺めるだけ・・・。
 街のネオンは僕たち上京してきた者にとっては少し眩しすぎた。
 車の発するノイズは今でも耳鳴りがする。何もかもうまくいかず、生きることさえも僕には我慢できなかった。
 別に死にたかったわけでもなく、生きている価値があったわけでもなく…でも僕は彼女を愛していた。
 心から好きだと想っていた。
 でもそれは自分勝手であり、他人の気持ちを考えなかったワガママだっただけのような気もする。
 真っ暗な海の底、僕はプランクトンに埋もれながら寝る。ノイズももう聞こえない。
 ビルの影が1番長い季節。人の声や急ぐ足音、車のエンジン音など様々な音が容赦なく飛び交っている。
 駅前広場には、すっかりとライトアップされた街路樹たちが電飾をキラキラと輝かせている。
 そんな中、僕は彼女との待ち合わせ。先程買った缶コーヒーを2本持ち、冷たくなった手の平を温めている。
 「待った〜?」っといつもの調子で僕に駆け寄ってくる彼女。そして僕も「待ってないよ〜今来たところ〜」とキマリ文句を言う。
 これがいつものパターンであったが、その日は違っていた。
 
 「別れましょ」
 「えっ!」
 「私たち合わないし、あなたと私じゃつりあわないのよ、サヨナラ」
 
 彼女の言葉はノイズによってハッキリとは聞こえなかったが、僕はその瞬間、彼女を殴っていた。
 だから僕は誰もいないここで身を投げたんだ。プランクトンの降るこの場所で…。
 
 次の日、街中が「ハッカのビロード」でおめかしをすませていた。僕の故郷のように。